争点なき選挙、候補者は何をどう伝えるべきか

2021年03月20日

争点なき選挙、候補者は何をどう伝えるべきか
政策マニフェストのあり方とは

千葉県知事選挙、浦安市長選挙が行われています。

県知事選の方は、都知事選にも出馬していたユニークな候補者も参戦し、巷ではカオスと呼ばれています。注目が集まるのは投票率向上につながる可能性があるため、決して悪いこととは思いません。そういう意図を含めて立候補している候補者もいるようです。

浦安市長選については、現職と元職の2名のみの出馬となったため、これまでと異なり一騎打ちの様相を呈しています。

※本記事および本ブログでは、特定の候補者を支持したり、批判したりする意図は一切ありません。中立の視点で、現時点での感想を述べるものです。有権者の方はぜひともご自身のお考えに基づいて、投票行動を行ってください。


2021年3月21日(日)の投票日まであとわずか。一期目の現職市政を「劣化」と言い切る松崎ひでき候補に対し、現市長の内田えつし候補は市議会議員17名の支持を得て、「清潔な市政の継続」を主張しています。

浦安市に限らず、特別な課題がない地方自治体の選挙では、なかなか争点が明確になりにくいものです。コロナ禍の影響が続くなか、有権者に対し何をどう訴えていくのか、どの候補者も(また支援者集団も)頭を悩まし、表現に心を配っていることと思います。

その帰結が両候補の公約、近年はマニフェストと呼ばれているものになります。

マニフェストは政策として「これをやります」「あれをやります」と列挙するのが一般的なスタイルですが、私はこれには選挙の度に、違和感を感じていました。それは、

  • 候補者によってテーマやレベルの異なる内容を、比較しなければならない
  • 支持したい政策と、したくない政策が混在する場合がある
  • 候補者側から提示したメニューの範囲内で判断しなければならない

からです。


自治体の現在の状況や、未来への課題を十分認識している有権者なら、それを前提としてマニフェストを評価・判断できるかもしれません。しかし、日常の生活を日々維持しなければならない私たち普通の市民は、そのための時間を確保することがなかなか困難です。


マニフェストの前に「自治体課題の整理と共有」
が欲しい

そこで、選挙に際して候補者には、マニフェストの前提となる「課題の整理と共有」をまずお願いできると、本当は有難いんです。

つまり「○○をやります」という前段階としての「Why?」=なぜ私はこれらの政策を掲げるのか、という、背景の説明です。


例えば「市政の劣化」というのなら、何がどう劣化しているのか。それを放置すると市民の生活にどう影響があるのか。そしてそれらをどのように改善し、どんな着地点を目指すのか。


あるいは、いま何を自治体の問題点と認識していて、そこからどんな課題を導きだし、どのように解決していく道のりを設計するのか。

それを政策マニフェストとして体系化し示してくれたなら、私たちは比較・評価・判断がしやすくなります。

企業であれば、事業戦略の策定に際して市場機会脅威分析、競合環境分析、自社の強みと弱みの分析などを行った上で、進むべき方向を内外に対しロジカルに示します。そのため、社員もその意図を理解しやすく、足並みの揃ったブランディングが可能になるのです。

家庭の場合でも、突然「今月からお小遣い2割カット」と言われれば反発がありますが「5年後、10年後を見据えた老後や教育のための、フローとストック計画」の一環として話し合えば、前向きな検討ができるというものです(えっ、無理ですか?そうですかww)。

近頃はブランディングという言葉を用いる自治体もよく見かけるようになりました。しかし、その意味を理解してプロセスをしっかりとっている市町村は、まだ少ないのが実情です。

浦安の場合、現職が打ち出しているマニフェストは令和元年末の「浦安市総合計画」をそのまま踏襲したものになっています。この存在を詳しく知る市民もまた多くはない、と思われますので、これを政策として掲げる候補者は、成立の背景をもっと市民に分かりやすく知らしめるべきでしょう。

ちなみに、「浦安市総合計画」は市議会の議決を経て成立しています。なので賛成した市議が現職を支持するのは一見納得できるようにも思えますが、総合計画はあくまで市という行政単位の計画であって、選挙における候補者の政策とは一線を画します。二元代表制の原則を考えると、やはり市議は特定の候補と一定の距離を置くのがあるべき姿だと私は考えます。

では、参考として2021年3月21日投開票の、浦安市長選挙立候補者の主要政策と、関連サイトを下記に掲げます。

最後に、ぜひとも投票率の向上を期待したいと思います。


マニフェスト | 松崎ひできオフィシャルサイト より抜粋

浦安市の劣化を止めて再び"あこがれの都市・浦安"を

この4年間、かつては日本のトップレベルの財政力を誇っていた浦安市の財政状況が急速に悪化しています。そして、財政悪化の名の下で、子育て支援や障がい者福祉が次々と切り捨てられています。

主要政策項目

  • 健康管理の砦「浦安保健所」の設置

  • 子育てに優しいまちの再生を

  • 増え続ける「発達障がい」、早期対策の促進

  • 全ての人が住み続けられる浦安を

  • 健康寿命の延伸を目指して

  • 5Gを活用した「スマートシティ」の実現を

  • ストレスのないリモートワーク環境を

  • こども達の未来に投資

  • 「防犯・防災」に強いまち浦安を

  • 「移動販売車」の助成、攻めの対策指導を


主要政策 | 浦安市長 内田えつしオフィシャルサイト

重点政策 まずコロナ対策~そして未来へ
力強く歩みを続けよう。

コロナワクチン接種に向けた体制を整えました。
まずは「市民を守り抜く」強い決意で、新型コロナ感染対策に全力で取り組みます。
感染拡大により、子どもたちの教育機会の損失や市内経済の停滞、臨時の財政出動など、浦安も大きな影響を受けました。
コロナ禍からの復興を推進するとともに、安心安全な強い浦安のまちづくりに向け、確実に歩みを進めてまいります。

主要政策項目

  • 浦安再編 浦安ダイスキ!PLAN2021

  • 育み学び 誰もが成長するまち

  • 誰もが健やかに 自分らしく生きられるまち

  • 多様な機能と交流が 生み出す魅力あふれるまち

  • 安全・安心に 暮らせる快適なまち

  • 持続可能な行財政運営の推進

【参考資料】浦安市総合計画

令和元年12月


※なお、本ブログ記事は2006年12月より継続しているブログ

「浦安コペルニクス総研」の姉妹記事として掲載しています。

ご興味のある方はぜひそちらを合わせてご覧ください。

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